特別養子縁組と里親委託とマッチングの「お試し期間」

特別養子縁組と里親委託とマッチングの「お試し期間」

里子を預かるときに行われる
里親とのマッチングの期間を
お試し期間と呼んでいて

世間一般の人からは
「里親は、自分の預かりたい子供を
ペットのように選べるんじゃないの?」
みたいな、冷たい誤解があります


里親は、児童相談所から依頼される里子を
委託承諾するか、お断りするか
その権利はあるんですが、

数ある里子のなかから、「この子が良い」
と、逆指名するようなことは
一切できないようになっています

マッチングの「お試し期間」は
実は、里親にとっても里子にとっても
とても重要な期間です

全く知らない同士が
ある日を境に、家族として、仮にも親子として
長期間ともに暮らすのですから^^

出来るだけ、長期間問題なく
良い家庭生活をお互いに過ごせるための
里親制度なので
このマッチングの期間に
お互いを知り、ともに生活していけるかを
模索しなければならないのです

このお試し期間に
もし、どうしても難しいとわかれば
当然お互いのために、お断りすることとなります

いきなり措置されて
問題が勃発して、里親家庭が崩壊して
里子がまた違う里親家庭や施設を転々と…
と、言うことを避けるためにも
とても大切な期間と言えます

特別養子縁組の場合も
養子縁組希望の里親宅に、里子が措置されて
半年間は「同居人」として
お試し期間が設定されています

半年間、何事もなく
また、何かあったとしても
親子として縁組しようと決心できれば
裁判の申し立てが出来るようになります

「お試し期間」という言葉が
化粧品など「トライアルセット」的な
わくわくした軽く楽しい気分の
言葉に使われている方が多いので
人と人との間の「お試し期間」というと
逆に、妙に軽い気持ちの関係かと
思われがちですが

里親と里子の間には
人生がかかっているともいえる
大事な通過期間なのです

実際、お試し期間を経ても
里子やその実親の背景問題によって
じわじわと、家庭内に問題が生じて
里親家庭が、崩壊状態になることもあります

普通に自分の子供を育てていくのとは
また違った子育ての苦労があります
目に見えない何かと、戦っていくような
そんな感じがあるんです

その目に見えない何かとは
いままでの里子の養育過程であり
里子の背景にあるのは
愛着障害だったり、虐待による精神的な障害
問題行動、発達障害など様々です

一緒に暮らしてみて、初めて
里子が体験してきたのではないか?
と、思われる壮絶な記憶や習慣が
見え隠れして、徐々に姿を現してくる
と言うことが、ほとんどです


里親家庭に措置されて、初めてまともに
家庭というものを、味わう子も
少なくないでしょう

家庭という安心できる場に入って
ようやく、今まで受けてきた
いろいろな心身の傷が
ありとあらゆる形で、体の内側から
吹き出してきて、そして癒されたいと
思うのでしょうか

様々な問題が噴出してくるのです

その一つ一つを、受け止めつつ
また、難しい困難な問題は
特に、児童相談所や、ソーシャルワーカー
心理士、あるいは児童精神科医の力を
借りながら、解決への長い道のりを
歩いていきます

それでも、どうしても困難な場合は
やはり措置解除という結果になってしまいます

傷が深すぎて、支えきれない場合もあるのです
里親は、共倒れしてしまうこともあります

でも、共倒れする前に
里親も、SOSを出さなければいけないのです
措置解除は、残念な結果と思われがちで
里親にとっては、かなりの挫折感が伴いますが
それでも、社会的養護という立場にある
里親は、共倒れするのが里子にとって、
自分にとっての最善ではないのだと
境界線をしっかり引いて
最善の措置を考えていくべきだと
思います


措置解除をした後、里親も心身ともに
深く傷つき疲れ切ってしまいます
でも、それも真剣に向かい合ってきたから
こその物だと、前向きに考えて
次に委託される里子のために
備えていけると、良いと思います